少し前の放送分ですが、録画してあった『NHK短歌』というテレビ番組を観ました。
『NHK短歌』は、お題に沿った短歌を視聴者から募集し、毎週異なる選者が、優れた8首を紹介していき、さらにその中で優秀な3首を入選首として発表するという番組です。
今回のお題は「婚」でした。
紹介された短歌の中に、「婚活」をうたったものがあったので、紹介します。
【就活より 解放された 若者に アフターファイブ 婚活が待つ】
「やっと就活から解放されたと思いきや、こんどは婚活をせねばならない!」と、「婚活」を、現代若者の苦労としてうたっているようにも聞こえます。
ですが、「アフターファイブ」の響きからは、なんだか楽しげな雰囲気も感じられ、ちょっと大変かもしれないけれど、楽しくもある「婚活」が待っているよ♪という明るいうたにも聞こえます。
うたというものは、読む人によって受け取り方が変わるものだと思いますが、みなさんにはどう感じられましたか?楽しげな婚活?それとも義務感の婚活でしょうか?
実際の婚活シーンでも、同じ婚活をしているのに、婚活そのものを楽しんでいる方もいれば、親や周囲のプレッシャーからか、強い義務感や焦燥感を伴ってなんだかちょっと苦しそうに婚活をしている方もいる気がします。後者と接すると、もう少し気を楽にして、婚活を楽しむくらいの余裕をもって臨まれると、婚活も人生も楽になるだろうにな、と思うものです。
紹介された8首の中で、入選はしませんでしたが、私が個人的に好きだな、と思った一首を紹介しますね。
【結納を 持ちゆく旅の 水戸あたり 桜前線 ついに追い越す】
「桜前線を追い越す」という言葉が、美しい景色を思わせるだけでなく、距離の長さや時間の経過を感じさせ、動きのあるうただなと思いました。その長旅は、ご子息の人生の節目における大切な行事に向かう旅であり、じっくりと新たな幕が空けていく印象で、道中の親心を思わず想像してしまうものでした。
ほかの6首も載せておきますね。
みなさんは、どの一首がお好きでしょうか?
【知恵の輪の やうにハンガー 絡ませて 新婚カラスは 巣作りをする】
【つくづくと 見れば不可思議 「婚」の字に 昏(くら)くたたずむ 女がひとり】
【紅色の 両手を広げ 空めざし 金婚祝す アメリカハナミズキ】
【中継ぎが 打たれて唸って 風呂へ行く 妻を見送る これが結婚】
【婚姻の 色に染まりて 鼻まがる シャケの男の子(おのこ)よ 元気であれよ】
【おそらくは ルビー婚式は 過ぎたかと にらめっこして 二人で笑う】