カウンセラーは、新規会員を迎えると、すぐに既存会員とのマッチングを考え始めます。
まずは、ぱっと見た印象と年頃から、その人に合いそうな既存会員を頭に浮かべます。「あの人とお似合いだな」とか「あの人となら相性がよさそう」と想像するのはなかなか楽しいものです。
しかし、実際のマッチング作業になると、見た目から想像したほど簡単にはお見合いを作ることができません。なぜなら、ほとんどすべての会員がそれぞれの「こだわり」を持っているからです。
「こだわり」と言ったのは、相手に対する希望条件のことで、外見、年齢、年収、学歴、地域といったものから、子ども、同居、たばこ、ペット、趣味に至るまで、あらゆる項目におよびます。
ものによっては生活の根幹にかかわる希望条件もあるため、カウンセラーは十分に配慮しなければなりませんが、それらが3つも4つもあると、マッチングを困難にする障壁のように思えてくることも事実です。
そこで、カウンセラーは、その希望条件が「絶対ゆずれない」ものなのか、「場合によってはゆずってもいい」ものなのかを会員に尋ねます。そうすると、最初はあれもこれも「絶対」と言い張っていた会員が、「総合的に判断して、そこはゆずってもいい」と軟化することになります。
これは、カウンセラーが会員を説き伏せたというよりも、会員自身が自分の思い込みに気づいたというべきでしょう。相手はこうであるべきだ、とか、相手がこうでないと自分は幸せになれない、といった思い込みです。
カウンセラーは仕事柄、数多くの成婚カップルを見ています。その成婚カップルのどの一組を取り上げても、相手が細部までばっちり条件に合った人同士、という例はありません。にもかかわらず、どのカップルもいい相手に出会えたと満足げです。
結果的に見ると、部分的な条件よりも全体的な相性が成婚へのカギ、と言えます。このことは、新規会員に限らず、既存会員にも折に触れて伝えています。出会いの機会に恵まれていないと思ったら、一度、自分のこだわりを見直してみるといいかもしれません。